介護のベッドまわりで腰が疲れる時は身体との距離を近づけてみよう
着替えを手伝う。掛け布団を直す。身体の向きを変える。ベッドの奥にある物へ手を伸ばす。
介護では、重い物を持っていないのにベッドまわりの作業を終えると腰が重くなることがあります。
このような場面では、中腰になっている時間だけでなく「自分の身体からどれくらい離れた場所で手を使っているか」も確認したいポイントです。
ベッドの反対側まで腕を伸ばし、腰を曲げたまま作業すると、腕だけでは届かない距離を背中や腰で補いやすくなります。腰を伸ばして頑張るより、まず自分の立つ場所を変えられないか考えてみましょう。
ベッド介助では前かがみのまま手を使う時間が続きます
床の物を拾う場合は、前へかがんでも数秒で身体を起こせます。
一方、介護のベッドまわりではそうはいきません。
袖を通す。
シーツを整える。
身体の位置を確認する。
枕やクッションを動かす。
一つひとつは短い作業でも、前へ手を伸ばした姿勢のまま次の動作へ移ることがあります。
そのため、「一度強く腰を使った」というより、小さな負担が何度も続いて疲れを感じることがあります。
腰がつらくなる方は、何を持ったかだけでなく、どの姿勢を何分ほど続けていたかも振り返ってみてください。
腕が身体から離れるほど腰も支える仕事が増えます
同じタオルを持つ場合でも、胸の近くで持つ時と、腕を伸ばして遠くで持つ時では身体の使い方が変わります。
ベッド介助も同じです。
自分はベッドの端に立ったまま、奥側へ腕を伸ばして作業する。
すると手を届かせるために肩が前へ出て、背中も前へ傾きやすくなります。
さらに、その位置で布団や身体の一部を動かそうとすると、上半身を支えながら腕にも力を入れることになります。
腰が弱いから疲れるのではなく、「遠い場所で作業しているため身体全体で支える時間が長い」という見方もできます。
腰を守る第一歩は作業の前に一歩近づくことです
腰が気になると、「背すじを伸ばそう」「膝を曲げよう」と姿勢ばかり意識しがちです。
それより先に試したいのが、作業する場所へ身体を近づけることです。
例えばベッドの手前側で作業できる内容なら、自分の腰とベッドの間に大きな隙間を作らないようにします。
奥側を整えたいのであれば、可能なら反対側へ回ってから作業します。
一度の介助で何度か立ち位置を変えることになりますが、遠くへ腕を伸ばしたまま一気に終わらせるより、身体の近くで手を使いやすくなります。
「なるべく動かずに済ませる」ことが、必ずしも腰にとって楽とは限りません。
ベッドの高さが合わないと腰の曲がる時間も変わります
介護用ベッドなど高さを調整できる環境では、作業内容に合わせて高さを変えられる場合があります。
低い位置のまま着替えやシーツ交換をすると、自分の身体も低く保つ時間が長くなります。
反対に高すぎれば、肩を持ち上げて腕を使うことがあります。
毎回同じ高さが正解というわけではありません。
立って行う作業なのか、本人の乗り降りを優先する場面なのかによって、使いやすい高さは変わります。
高さを調整できる環境なら、「腰がつらくなってから変える」のではなく、作業を始める前に自分が無理なく手を届かせられる位置かを確認してみてください。
身体の向きを変える時は腰だけをひねらないようにします
ベッド介助では、前へかがむだけでなく横方向へ手を伸ばすこともあります。
足は正面を向いたまま、右側の物を取る。
腰をひねったまま布団を引く。
後ろのワゴンへ手だけを伸ばす。
こうした動作が何度も重なると、腰だけで方向を変えやすくなります。
横へ作業する時は、足を少し動かして自分の身体ごと向きを変えてみましょう。
大きく移動する必要はありません。
つま先と胸が作業する方向へ向くだけでも、腰だけをひねった姿勢で力を使う時間を減らせる場合があります。
介助後のセルフケアは「反らす」より姿勢を変えるところから
ベッドまわりの作業後に腰が重いと、身体を大きく後ろへ反らしたくなる方もいます。
強く反らす必要はありません。
まずその場から数歩歩き、一度腰を伸ばして普通に立ちます。
その後、両手を腰へ当てるのではなく、腕を自然に下ろした状態でゆっくり3〜5回歩いてみてください。
次に、壁や机へ手を添え、左右交互にかかとを軽く上げます。
5回程度で十分です。
前かがみで固まっていた腰だけを急に大きく動かすのではなく、脚を使って全身の姿勢を切り替えることが目的です。
痛みが強い場合は無理に行いません。
介護では「一人で何とかする」より環境を使うことも大切です
介護する相手の身体を大きく動かす必要がある場面では、姿勢だけ工夫しても負担を十分に減らせないことがあります。
身体を支える量が多い場合や、一人では不安を感じる介助では、無理に持ち上げたり引っ張ったりしないことも大切です。
ご家庭で介護サービスを利用している場合は、ケアマネジャーや介護職などへ、ベッドまわりの動作や福祉用具について相談する方法もあります。
腰だけでなく「どの位置から手を伸ばしているか」を確認します
整骨院元菊陽町光の森院では、介護の後に腰が気になる方について、腰の硬さだけを見るわけではありません。
前へ手を伸ばした時の背中や股関節の動き、身体から作業位置までの距離、向きを変える時の足の動きなども確認しながら、腰へ負担が集まりやすい場面を整理します。
急に強い腰痛が出た、脚のしびれや力の入りにくさがある、歩くことが難しい、転倒後から痛みが続くといった場合は、介護疲れだけと判断せず医療機関での確認も検討してください。
ベッドの奥へ手を伸ばす前に自分が動けないか考えてみましょう
介護をしていると、相手を待たせたくない気持ちから、自分は同じ場所に立ったまま手を伸ばして作業を続けてしまうことがあります。
しかし腰の負担を考えるなら、
もう半歩近づけないか。
反対側へ回れないか。
ベッドの高さを変えられないか。
足を動かして身体ごと向きを変えられないか。
そんな工夫も役立ちます。
腰へ負担をかけない完璧な姿勢を探す必要はありません。
介護のベッドまわりでは、「腰をどう曲げるか」よりも、まず身体と作業する場所の距離を小さくすること。
次に介助する時は、手を伸ばす前に自分が一歩動けないかを確認してみてください。























