腰をよく使う仕事3選から見る職業ごとの腰への負担
「重い物を持つ仕事ではないのに、仕事が終わると腰が重い」
そんな方は少なくありません。
腰をよく使う仕事というと、荷物を運ぶ仕事を思い浮かべやすいですが、実際には低い位置で作業する、長時間立つ、少し前へかがんだ姿勢を繰り返す仕事でも腰は働いています。
今回は、これまでの記事で個別に扱ってきた配達や介護とは別に、保育士・調理や飲食の仕事・美容師の3つを例に、職業によって違う腰の使い方を見ていきます。
腰をよく使う仕事は「重い物を持つ仕事」だけではありません
腰は、物を持ち上げる時だけ働くわけではありません。
立っている身体を支える。
前へかがんだ姿勢を保つ。
低い位置から立ち上がる。
身体の向きを変える。
こうした日常的な動作でも腰まわりは使われています。
そのため仕事中に持っている物が軽くても、同じ姿勢や動作を何十回も繰り返せば、夕方になると腰に疲れを感じることがあります。
職業による違いを見る時は、「どれだけ重い物を持つか」だけではなく、どの高さで、どの姿勢を、何回繰り返しているかまで考えてみましょう。
1.保育士は大人の高さと子どもの高さを行き来します
保育士の仕事では、身体を低くする場面が一日の中で何度もあります。
子どもと話すためにしゃがむ。
床に座って遊ぶ。
低い机で食事を手伝う。
着替えを補助する。
そこからすぐ立って別の子どものところへ移動する。
このように、大人の立った高さと子どもの高さを何度も行き来するのが特徴です。
さらに子どもを抱き上げる場面では、低い位置から身体を支える動作も加わります。
腰を曲げること自体が悪いわけではありません。
気をつけたいのは、急いでいる時に膝や股関節をあまり使わず、腰を曲げ伸ばしする動作ばかりになっていないかという点です。
例えば床にいる子どものそばへ行く時、一度しゃがむのではなく、立ったまま腰だけを曲げて手を伸ばすことが続くと、腰へ負担が集まりやすくなることがあります。
保育の仕事で腰が疲れる方は、「抱っこの回数」だけでなく、一日の中で何回身体を低くしているかも振り返ってみてください。
2.調理や飲食の仕事は立ったまま前へ手を出す時間が長くなります
厨房や飲食店では、立ち仕事が中心になります。
ただ立っているだけではありません。
まな板で食材を切る。
シンクで洗い物をする。
鍋をのぞき込む。
盛り付けをする。
冷蔵庫や下の棚から物を取る。
作業する場所によって、身体の高さが何度も変わります。
特に調理台やシンクに合わせて少し前へかがんだ状態が続くと、腰を大きく曲げていなくても、上半身を支える時間が長くなります。
また、足元は同じ場所にあるのに、右の食材、左の鍋、後ろの棚へ手だけを伸ばしていることもあります。
この場合は前後の動きだけでなく、腰をひねりながら手を使う動作が増えます。
忙しい時間帯ほど「一歩動くより手を伸ばした方が早い」となりやすいため、身体と作業位置の距離が広がりやすい仕事ともいえます。
3.美容師は立ち姿勢のまま細かな位置調整が続きます
美容師も、長く立っている職業の一つです。
カットでは、お客様の頭の位置に合わせて身体を少し前へ倒す。
左右へ移動しながら、同じ高さを保ってハサミを使う。
シャンプーでは、前へ手を出した状態で洗髪を続ける。
ドライヤーでは、腕を上げながら身体の位置を細かく変える。
こうした作業では、腰を大きく動かしている感覚がなくても、一定の高さを保つために腰や脚を使っています。
特に身長差のあるお客様を担当する時は、自分の身体を相手の高さへ合わせようとして、中腰になる時間が増えることがあります。
また、鏡を見ながら作業するため、顔は正面を向いているのに身体は少し横へずれているという姿勢も起こります。
美容師で腰が重くなる方は、「長く立ったから」と考えるだけではなく、どの施術の後に疲れやすいかを分けてみると特徴が見えやすくなります。
3つの仕事は腰の使い方が同じではありません
保育士は、身体を低くしてから立つ動作が多い。
調理や飲食では、立った状態から前後左右へ手を伸ばす時間が長い。
美容師では、相手の高さに合わせながら中間姿勢を保つ時間が増えます。
どれも「腰をよく使う仕事」ですが、負担のかかり方は違います。
そのため、腰が疲れるからと全員が同じストレッチをすればよいとは限りません。
仕事中に一番多いのが、
曲げ伸ばしなのか。
立ち続けることなのか。
中腰を保つことなのか。
身体をひねることなのか。
まずここを分けることが、腰への対策を考える入口になります。
仕事の合間にできることは「反対の運動」より姿勢を変えること
仕事中の腰が気になった時に、必ずしも特別なストレッチをする必要はありません。
例えば保育で床に座る時間が続いた後なら、一度立って数歩歩く。
調理で作業台の前に立ち続けていたら、休憩時に椅子へ座るだけでなく少し歩く。
美容師で中腰が続いた後なら、両足へ体重を乗せ直して自然に立つ。
同じ姿勢の反対方向へ強く伸ばすのではなく、一度その姿勢から離れることを意識してみてください。
30秒から1分でも、身体の使い方を切り替えるきっかけになります。
仕事だから仕方ない腰痛にしないために
腰が疲れる仕事をしているからといって、腰のつらさをすべて職業のせいにする必要はありません。
同じ仕事でも、
午前中は平気なのに夕方から重い。
特定の作業の後だけ気になる。
休みの日にはほとんど感じない。
このような違いがあれば、仕事の中でも負担が集まりやすい場面を絞ることができます。
整骨院元菊陽町光の森院では、腰が気になる方について、腰そのものだけでなく、仕事で多い立ち方、しゃがみ方、前へ手を伸ばす動き、股関節や脚の使い方なども確認します。
仕事内容を細かく伝えていただくと、日常でどこへ負担が集まりやすいのかを整理する材料になります。
なお、脚のしびれや力の入りにくさが強い、歩くことが難しい、発熱を伴う、排尿や排便に異常がある、転倒や事故の後から強い痛みが続く場合などは、仕事による疲労だけと考えず医療機関へ相談してください。
腰をよく使う仕事では「何回する動作か」を見てみましょう
保育士、調理や飲食の仕事、美容師。
仕事の内容は違いますが、共通しているのは一度だけ大きな負担がかかるとは限らないことです。
少しかがむ。
立ち直る。
手を伸ばす。
同じ高さを保つ。
こうした小さな動作を一日に何度も繰り返しています。
仕事が終わるたびに腰が重くなる方は、「腰を使う仕事だから仕方ない」で終わらせず、自分は仕事中にどの動作を一番多く繰り返しているのかを一度思い出してみてください。
そこが分かると、腰だけを伸ばしたり鍛えたりするのではなく、仕事に合わせた身体の使い方を考えやすくなります。























